今回は、新築分譲マンション探し中にある物件で起こった、夫との静かな攻防エピソードを紹介します。
20件以上のモデルルームを見てきた中で、夫が強くこだわるある物件がありました。確かにスペックは良いものの、私はあまり乗り気ではなかったのです。
ノリノリの夫、気が進まない妻。そして義実家も夫側についてその物件を勧めてくる展開に…!さぁどうする、私!?
穴場駅にできる新築分譲マンションに夫が乗り気だった理由
その物件は郊外で大手デベロッパが手掛ける新築分譲マンションでした。夫が乗り気になるのも分かる、そのマンションのメリットを書いてみます。
穴場の街ゆえ物件価格が良心的、スペックも良し
そこは郊外の立地で、発展の余地はあるものの現状は何もありませんでした。田舎ゆえ物件価格も平凡なサラリーマン家庭の手の届く現実的な価格帯だったのです。億ションがバンバン出る都内とは大違いです。
そのうえ、昨今のマンションバブルの中「穴場の駅」として注目されており、物件自体が街のシンボル的存在になるべく力の入ったスペックになっていました。外観や植栽から共有部まで、物件としてはかなりいいものでした。
始発駅
都内を走る複数路線で、その駅が始発駅になっていました。本数も多いし座って通勤できるのは本当に便利。都内アクセスを重視する我が家にとっても好条件です。
再開発で駅周辺がきれいになる
何もない田舎ではありましたが、近々再開発で駅ビルや周辺の再開発があるという朗報付き。生活圏の街並みのきれいさにこだわる私にとっては魅力的です。
第一期で購入できる
これまで見たマンションの中で、初めての「これから販売開始のマンション」でした。第一期からエントリできるということです。
つまり、好条件の部屋を選べるということ。せっかく家を買うならいちばん条件の良い部屋を選びたい、という夫には魅力だったようです。
私が乗り気でなかった理由
上記のメリットは、第三者視点で見ると確かに「買い」です。私もマンション物件自体はとても良いと感じていました。
だからこそ、その街と駅の雰囲気が好きになれないことが残念でした。しかしどうしても受け入れがたい。好きになれない。敢えて言うなら、田舎っぽい…?でもこれでは伝わらない気がします。田舎でも好きなところもあるけど、あまり好きではない田舎。ごく個人的な感覚です。
- 駅を出たときの雰囲気が好きではない(居酒屋の入るビルがドーンと建つ、とか)
- 駅周辺を歩いている人の雰囲気に違和感がある(うまく言えない)
- 家までの経路が好きになれない(人通りが少なく活気がない、車は多くそれもちょっといや)
「この場所は好きになるまで時間がかかるやつだ」と珍しく強く感じていました。
義理実家の参戦
ノリノリだった夫は、定期的に「どう?マンション探しは?いい物件あった?」と聞いてくる夫実家に、検討中のこの物件のことを話しました。
すると、いつになく積極的な義実家。とくに義母は「いいじゃないいいじゃない♪」と夫同様ノリノリなんです。
しかし私が乗り気でないと知ると、「どうしてダメなの?そんなにイヤ?便利じゃない」と質問攻めw「条件も良いしこれから資産価値も上がりそうなんでしょ?」なーんて言われると、まるで私一人がわがままみたい。しかもお金出すのは夫なのに~と責められている気持ちにもなり、少しつらかったです。しかし嫌な理由が感覚的なものなので説明しづらいんですよね。
ところが、です。
数日後、この物件の検討をやめると伝えたときの言葉ですよ、
「せっかくうち(義実家)に近くなると思ったのに。」
そう、複数路線のうち1本が、夫の実家への最寄り駅まで行ける路線なのです。「〇〇(娘)ちゃんもパパ(夫)と同じ高校に行けたのにねぇ」とも…なんとそういうことか…。
この隠された意図を知ったときはヒヤッとしました。 お姑さんとの関係は良好ですが、悪気はなくても気付かれないうちに思い通りにことを運ばれるのはいい気分ではありません。検討段階ではこんなこと一言も言わなかったのに。
義実家の前で面と向かって反対はしませんでしたが、結果的に夫を動かしてこの物件をNGにして本当によかったと思いました…。
担当者さんの言葉に「買うべきかどうか」の重要な指標が隠されていた
ノリノリだった夫がどうしてこの物件がNGになったのか。最終的には、私の感じる違和感を夫も感じ取ったようです。
それは、夫&義実家とのせめぎあいで心折れそうな中、この物件の2度目の商談に行ったときです。ちなみに、モデルルームで2回目訪問となると本気で検討中とみられ、商談もかなり具体的に進むことになります。
商談中なんとかいいところを少しでも多く見つけようとする私。う~~~ん、もう妥協するか?
そう思いながら商談を終え、外でランチしようと歩いていたとき。夫「…なんかさ、町の雰囲気が…人が…」とそこで初めて違和感を覚えたようです。「でしょ?わかる?」とそこから一気にNGの方向に話が進みました。夫としては、商談が進んだ2回目でやっとマンションスペックではなく周辺環境へ目が行ったようでした。互いに違和感を言いながら、なぜそう思うのか、これまで見てきた物件でよかったところとどう違うのか、など議論を交わし、数日中にこの物件は検討から外しました。
実は、”妻が反対して検討から外す”という展開、実は担当者さんは想定済みだったようです。というのも、この物件の1回目訪問時からこういわれたのを思い出したんです。
「奥様さえ抵抗がなければ、この物件はおすすめですよ」
コレですよ。奥様が抵抗がある可能性は最初から想定されてたんです。
夫の場合、この駅の先に実家の最寄り駅があるため、この地域にも抵抗は少ないだろうと担当者の方は見ていました。しかし重要なのは、妻がこの地に住むことを受け入れられるか、です。私は「奥様さえ抵抗がなければ」の意味を勝手に「(一般的に)夫の実家近くの地域に住むこと」や「(一般的に)なじみのない場所に住むこと」に抵抗なければ、と捉えていました。でもおそらく担当者さんの意味するところは「この地域の雰囲気」なんです。当時住んでいた場所とこの物件の立地の雰囲気もまったく違い、それゆえこの地に住むことに抵抗があることは想定できたようです。そして私が感じた違和感は確かに、担当者さんの懸念通りでした。私の感覚は間違っていなかった。
この言葉、思い返せば担当者さんの口から何度か出ていたんですよね。確かに客観的にはこの物件は買いです。しかし、その雰囲気や町の感じは自身で感じ取らなくてはいけない。夫はマンションのスペックに注目していましたが、私は生活環境をより重視してたので、より強くNGと思ったのかもしれません。
まとめ:妻が感じた違和感にはマンション探しの重要なヒントが込められている
買わなくてよかった。夫も今振り返って「買わなくてよかった」と言っています。
たしかに再開発により今後もっと町の雰囲気も変わるかも知れない。でも、私たちが住むのは「今」であり、数年後に変わるかもしれないポテンシャルに賭けるほど住みたいまちではない。というのが結論でした。
マンション探しにおいて、配偶者(夫)と意見が合わないことがあると思います。そんな時はもしかすると、見ているポイントが違うかも知れません。我が家のケースでは、夫はマンションのスペックを重視しており、私はその地で暮らすことを考えたときに意見の相違が生じたのでした。
たぶん、妻の感覚って重要です。子供の送迎や買い物、近所づきあいなどその地での活動が多いのは女性(夫婦で同じだけ担いたいものですが)。なので妻の方が違和感を感じる物件なら、その感覚は大切にしてください。そして夫婦で話し合ってみてください。ローンを支払うのは夫だからと遠慮してはだめです。今回のケースでは、私の意見を尊重してくれる担当者さんが救いでした。
後日、別のマンション担当者から聞いた話が、このエピソードの結果を肯定する、裏付けのような話でした。